動物用医薬品・医療機器の許可にはどんな種類があるのでしょうか?
動物用の医薬品・医療機器を作るときにも、人間用の医薬品を作るときと同様に、薬機法上の許可が必要となります。
その際、どのような許可が必要となるのかは以下の通りです。
第一種動物用医薬品製造販売業許可…動物用の要指示医薬品を製造し出荷販売する場合
第二種動物用医薬品製造販売業許可…動物用の要指示医薬品以外を製造し出荷販売する場合
動物用医薬部外品製造販売業許可…動物用の医薬部外品を製造し出荷販売する場合
第一種動物用医療機器製造販売業許可…動物用の高度管理医療機器を製造し出荷販売する場合
第二種動物用医療機器製造販売業許可…動物用の管理医療機器を製造し出荷販売する場合
第三種動物用医療機器製造販売業許可…動物用の一般医療機器を製造し出荷販売する場合
なお、動物用には、薬機法上、化粧品という区分はありませんので、犬猫用のシャンプーなどは、雑貨として取り扱うか、または、医薬品・医薬部外品として取り扱うかという形になります。
動物用の医薬品の製造販売業許可は、製造する医薬品が要指示医薬品かそれ以外の一般医薬品かで、許可の種類が分かれます。
要指示医薬品であれば、第一種動物用医薬品製造販売業、それ以外の一般医薬品であれば第二種動物用医薬品製造販売業の許可、というようになります。
では、要指示医薬品とは、いったいどのようなものなのでしょうか?
要指示医薬品は、獣医師自身が使用・処方するか、獣医師の診察を受けた上で獣医師が発行する“処方箋”や“指示書”が入手時に必要となる医薬品で、抗生物質やホルモン剤、ワクチン等が該当します。
この、要指示医薬品は、副作用の強いものや、病原菌が耐性を示しやすくなるものがあり、間違った使い方をすると病気が治りにくくなったり、悪化する可能性があるとされている医薬品です。
薬機法において、医薬品とは、疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的の物や、身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物で、機械器具等でないものとされています。
ペットフード、家畜用飼料、ペット用シャンプー等であっても、疾病を予防するといった表示等を行ったりすると、動物用医薬品等に該当し、許認可を取得する必要があります。
具体的には、そのものの成分、形状、目的、効能や用法用量などを総合して判断されていきます。
たとえば、現在承認を受けている医薬品や医薬部外品に専ら含有される成分が含まれている場合は、原則として医薬品的成分と判断される事になります。
許可の審査期間と登録免許税
ヒト用の医薬品の製造販売・製造業許可は厚生労働大臣の許可が必要ですが、動物用の医薬品の製造販売・製造業許可は、農林水産大臣の許可が必要になります。
審査期間は申請書を提出してから、およそ6カ月になります。
また、途中で立入検査もあります。
その立入検査の際には、社内にGQP省令・GVP省令の業務体制がしっかりできているかを確認されます。
申請の際には、登録免許税が15万円必要となります。
なお、許可の有効期間は5年間です。(5年ごとの更新が必要となります。)
申請の際の必要書類に、役員についての医師の診断書または疎明書が必要となる点は、ヒト用の製造販売・製造業許可と同じです。
動物用医薬品の承認について
動物用医薬品を国内で販売するためには、動物用医薬品製造販売業許可と、動物用医薬品製造業の許可を取った後、その医薬品についての承認を得る必要があります。
動物用医薬品の承認は、提出された資料をもとに、農林水産省で品目ごとに名称、成分・分量、製造方法、用法・用量、効能・効果、副作用等を審査して行われます。
動物医薬品検査所は、承認審査業務を実施しており、動物用医薬品は承認を受ける事によって、品質、有効性及び安全性が保証されます。
新動物用医薬品の審査は、まず、申請品目の種類に応じて薬食審動物用医薬品等部会の各調査会で調査審議されます。また、食用動物に使用する医薬品は、動物用医薬品残留問題調査会において残留性に関して検討が行われます。
調査会の審議が終了すると、さらに動物用医薬品等部会で審議が行われます。申請医薬品の適用、毒性、副作用等からみて慎重に審議する必要があるとの部会の意見に基づき、分科会長が決定したものについては、薬事分科会において審議が行われます。
なお、食品中の動物用医薬品の最大残留基準値(MRL)については、厚生労働大臣によって設定されます。
また、食用動物に使用する医薬品の人への健康影響評価については、内閣府食品安全委員会が行っており、食品安全委員会は、動物用医薬品成分の1日摂取許容量(ADI)を設定しています。
これらの審査や評価がすべて終了し、承認して差し支えないとの結論が出た場合に、やっと承認されることになります。
承認事務の標準的事務処理期間は、約12 か月です。なお、申請書及び添付資料における不備の修正や薬食審の指示事項に関する回答作成期間は含まれません。