医薬部外品や化粧品、医療機器(高度管理と特定保守管理を除く)を販売するためには、販売許可をとる必要はなく、一般の小売店などで自由に販売することが出来ます。

ただし、これはあくまで販売のみに限った話であり、製造や製造販売の場合には許可や承認等が必要となります。

また、輸入をする場合も製造販売業と製造業の許可が必要になります。

ここでは、医薬部外品の製造販売業許可について解説します。

医薬部外品についての詳しい説明は、「医薬部外品の定義とは?」をご覧ください。

なお、医薬部外品の製造販売業許可は「第三種製造販売業許可」に当たります。

医薬部外品製造販売業許可の申請要件

医薬部外品の製造販売業許可の申請要件も、医薬品の製造販売業許可とほぼ同じく、4つの要件に分かれています。

申請者が欠格事由に当てはまらない

②総括製造販売責任者を設置

③品質管理方法の基準(GQP)に適合

④製造販売後安全管理方法の基準(GVP)に適合

ただ、これらの要件は医薬品の製造販売業許可に比べてかなり緩やかになっています。

それでは一つずつ説明します。

 

①申請者の欠格事由(人的要件)

申請者や法人の役員等が以下のいずれかに当てはまる場合、許可を受けられない場合があります。

1.薬機法の規定により許可を取り消された日から3年を経過していない

2.禁固以上の刑に処され、その執行を終わった日から3年を経過していない

3.薬機法、麻薬及び向精神薬取締法などの薬事に関する法令や処分に違反した日から2年を経過していない

4.成年被後見人又は麻薬、大麻、あへん若しくは覚せい剤の中毒者

5.心身の障害により業務を適切に行うことが出来ない

こちらの要件は、製造販売だけでなく薬局開設者や店舗販売業、配置販売業、卸売販売業等でも同一の要件となっています。

注意したいのは、申請者本人だけでなく、その法人の役員等のいずれかが上記欠格事由に当てはまってはならない、という点です。

 

②薬事三役の設置

薬事三役とは、業務を適正かつ安全に行う為に必要な役割を担う方たちの事で、以下のものがあります。

・総括製造販売責任者

・品質保証責任者

・安全管理責任者

 

総括製造販売責任者は、次のいずれかの要件に当てはまる方を選任する必要があります。

1. 薬剤師

2. 大学等で薬学や化学の専門課程を修了

3. 高校で薬学や化学の専門課程を修了後、業務に3年以上従事

この薬事三役は、以下のような2パターンの兼任が認められています。

平成 16 年 7 月 9 日付け薬食発第 0709004 号 第 26 の 1
(1) 総括製造販売責任者品質保証責任者及び安全管理責任者との兼務については、同一所在地に勤務するものであって、それぞれの業務に支障を来さない等、兼務することに合理性がある範囲において可能とする。具体的には、次のとおりとすること。
第2種医薬品製造販売業、第2種医療機器製造販売業及び医薬部外品製造販売業については、『総括製造販売責任者品質保証責任者又は総括製造販売責任者安全管理責任者』との兼務を可能とすること。

③GQPに適合

※GQPに関して詳しい説明は「GQPとGVP」をご覧ください。

GQPとはGood Quality Practiceの略で、簡単に言えば自社の製造工場や委託先製造販売会社がきちんとした製造管理・品質管理を行っているかをチェックするための基準です。

以下が、医薬部外品に関わるGQPの主な内容です。

1. 品質保証責任者の設置

2. 品質管理業務手順書の作成

3. 人員の確保

4. 文書や記録の管理

 

1. 品質保証責任者の設置

医薬部外品の品質保証部門の責任者として、品質保証責任者を置く必要があります。

品質管理責任者については、「総括製造販売責任者等」をご覧ください。

 

2. 品質管理業務手順書の作成

品質管理業務手順書とは、医薬部外品の管理の仕方、マニュアルのようなものです。

以下の項目の手順について、記載しなければなりません。

・市場への出荷管理

・適正な品質、製造管理の確保

・品質等に関する情報や不良品の処理

・回収処理

・文書や記録管理

・その他品質管理業務を実施するために必要なもの

これらの手順を記載した品質管理業務手順書を総括製造販売責任者が業務を行う事務所に備え付け、併せて品質管理を行うその他の事務所に写しを備え付けなければなりません。

 

3. 人員の確保

医薬部外品の製造販売業者は、品質管理業務を適正に行える人員を確保する必要があります。

4.文書や記録の管理

文書を作成・改訂した場合には、品質管理業務手順書に基づいてその文書の承認、配布、保存を行わなければなりません。

又、作成した文書は5年間保存する必要があります。

 

 

④GVPに適合

gvp※GVPに関して詳しい説明は「GQPとGVP」をご覧ください。
GVPとはGood Vigilance Practiceの略です。医薬部外品の品質を保証しなければならないことはGQPでお伝えしましたが、こちらは製造販売後の安全管理についての基準となります。

GQPでも医薬品を市場販売した後の調査・報告義務がありましたが、GQPはあくまで品質不良等についてのものだったのに対し、GVPは主に副作用や感染症を対象とした、販売後の安全管理となります。

以下が、医薬部外品の製造販売業者に適用されるGVPの主な内容です。

 

1. 総括製造販売責任者の業務

2. 安全管理責任者の業務

3. 安全確保業務に係る組織や職員

4. 情報の収集、検討、措置の立案や実施

 

1. 総括製造販売責任者の業務

総括製造販売責任者とは、言ってしまえば製造販売業の最高責任者ということになります。

安全管理責任者を監督したり、報告を受けて所要の措置を決定したりする者のことです。

詳しい要件等は、「総括製造販売責任者等」をご覧ください。

 

2. 安全管理責任者の業務

安全管理責任者は、安全確保業務を統括し、記録を作成・保存したり、総括製造責任者と連絡を取り合う必要があります。

安全管理責任者の要件は、「総括製造販売者等」をご覧ください。

 

3. 安全確保業務に係る組織及び職員

適正な安全管理を行うために、安全確保業務の統括に係る部門として安全管理統括部門を設置しなければなりません。

安全管理統括部門のポイントは以下の通りです。

・総括製造販売責任者の監督の下にある

・十分な人員を有する

・医薬部外品の販売部門などから独立している

 

4. 情報の収集、検討、措置の立案や実施

安全管理責任者に下記の情報を収集させ、記録を作成する必要があります。

・医療関係者からの情報

・学会、文献、研究報告

・厚生労働省等の政府機関、都道府県、独立行政法人医薬品医療機器総合機構、外国政府や外国人からの情報

・他の製造販売業者からの情報

医薬部外品製造販売業者は、収集したこれらの情報を検討し、必要がある場合には医薬部外品の廃棄や回収、販売の訂正などを行わなければなりません。