毒薬・劇薬、毒物・劇物の保管場所の注意点
医薬品の販売業許可はその許可の種類に応じて医療用医薬品や一般用医薬品などを取り扱う事ができますが、毒薬・劇薬や冷暗保管が必要な医薬品を取り扱う時には、保管の際に注意が必要となります。
まず、冷暗保管が必要な薬品は、専用の保管庫が必要になります。
また、毒薬・劇薬は、鍵のかかる専用の保管庫が必要となります。
この専用の保管庫には、他の医薬品を混在させて保管することができません。
その為、毒薬・劇薬の他に普通の医薬品も取り扱う場合は、保管庫を複数用意する必要があります。
なお、さらに注意を要するのが、毒「物」・劇「物」の場合です。この2つは、毒薬・劇薬と字が似てますが、医薬品の販売業許可では取り扱えず、毒物劇物販売業の許可が必要になってきます。
毒物 とは・・・毒物及び劇物取締法別表第一に掲げる物であって、医薬品及び医薬部外品以外のものです。黄燐、無機シアン化合物、水銀、砒素化合物などが指定されています。
劇物 とは・・・毒物及び劇物取締法別表第二に掲げる物であって、医薬品及び医薬部該品以外のものです。アンモニア、塩素、キシレン、クレゾール、酢酸エチルなどが指定されています。
毒物劇物であれば、製造メーカーが安全データシートを発行していますので、その安全データシートを見れば毒物なのか劇物なのかが判別できます。
※国外メーカーの製品の場合は、別表第一、別表第二を見て判別します。
毒物・劇物の保管庫も、毒物・劇物専用に用意する必要がありますので、医薬品卸売販売業で毒薬・劇薬を扱う場合は、さらに保管庫を分けて用意する必要があります。
毒物・劇物の保管庫には、「 医薬用外 」の表記をわかり易く表示する必要があります。
毒物劇物取扱責任者の資格要件
毒物劇物販売業の許可を取る際、毒物劇物を直接取扱う場合には、その営業所の責任者として、毒物劇物取扱責任者を置く必要があります。
この毒物劇物取扱責任者の資格は次のいずれかの方となります。
2)厚生省令で定める学校で、応用化学に関する学課を修了した方
3)各都道府県で実施する毒物劇物取扱試験に合格した方
1)の薬剤師の方は、申請の際に薬剤師の免許証の原本を提示して証明する事になります。
2)の学歴要件ですが、具体的には以下の学部を卒業した方の事を指しています。
ア)薬学部
イ)理学部、理工学部又は教育学部の化学科、理学科、生物化学科等
ウ)農学部、水産学部又は畜産学部の農業化学科、農芸化学科、農産化学科、園芸化学科、水産化学科、生物化学工学科、畜産化学科、食品化学科等
エ)工学部の応用化学科、工業化学科、化学工学科、合成化学科、合成化学工学科、応用電気化学科、化学有機工学科、燃料化学科、高分子化学科、染色化学工学科等
オ)化学に関する授業科目の単位数が必修科目の単位中28単位以上又は50%以上である学科
※専修学校・高等学校を修了された方は、化学に関する科目の単位合計が30単位以上必要になります。
1)と2)の要件を満たせない場合は、各都道府県の実施する毒物劇物取扱責任者試験を受けて、合格する必要があります。
ただし、次の方は毒物劇物取扱責任者となることができません。(欠格要件)
A)18歳未満の方
B)心身の障害により毒物劇物取扱責任者の業務を適正に行うことができない方として厚生労働省令で定める方
C)麻薬、大麻、あへん又は覚せい剤の中毒者の方
D)毒物若しくは劇物又は薬事に関する罪を犯し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過していない方