店舗販売業では、医療用医薬品を取り扱うことはできません!

一般用医薬品についても、販売方法にいくつかのルールがあります。

ここでは、一般用医薬品の販売方法や、店舗販売業許可の取得後に特に重要となる義務等についてみていきます。

 

医薬品の陳列方法

一般用医薬品は「OTC薬」とも呼ばますが、これはOver The Counter、つまりカウンターの向こうに陳列される医薬品という意味で使われます。

具体的な陳列基準は、以下のように定められています。

1.一般用医薬品を販売しない営業時間がある場合、陳列場所が閉鎖出来る

2.第一類医薬品を販売する場合、以下のような必要な陳列棚などの設備がある

①購入者が陳列設備から1.2m以内に進入出来ない
    ※鍵をかけた陳列設備など、購入者が直接手の触れられない設備であれば不要です

②第一類医薬品を販売しない営業時間は、その区画を閉鎖出来る構造である

3.次に定めるところに適合する情報提供設備(カウンターなど)がある
   医薬品陳列※複数の設備がある場合、どれか一つが適合していれば問題ありません

①第一類医薬品は、第一類医薬品陳列区画の内部や近接場所にある

②指定第二類医薬品は、指定第二類医薬品を陳列する設備から7m以内の範囲にある
    ※鍵をかけた陳列設備や購入者が陳列設備から1.2m以内に進入出来ない措置がある場合は不要です

③2つ以上の階に医薬品を陳列や交付する場所がある場合、各階の陳列や交付する場所の内部にある

ちなみに、空箱は医薬品ではなく「広告」であるため、第一類医薬品の空箱を、他区分の一般医薬品と並べることは可能です。

 

医薬品販売の業務体制

店舗販売業許可申請の要件」でもご説明しましたが、再度ご確認ください。

業務体制には以下のような要件があります。

1.第一類医薬品を販売する営業時間内は、常時薬剤師が勤務している

2.第二類や第三類医薬品を販売する営業時間内は、常時薬剤師や登録販売者が勤務している

3.一般用医薬品を販売する情報提供場所に、常時薬剤師や登録販売者がいる

4.営業時間のうちの半分以上、一般用医薬品を販売している

5.第一類医薬品を販売する情報提供場所に、常時薬剤師がいる

6.一般用医薬品販売時間のうちの半分以上、第一類医薬品を販売している

7.一般用医薬品の情報提供や販売業務管理のため、指針の策定や従事者の研修等が講じられている
※従事者から販売業者への事故報告体制の設備や手順書の作成などがあります

また、店舗販売業ではその店舗ごとに管理者を置く必要があります。

この管理者は、薬剤師又は登録販売者でなければなりません。

薬剤師や登録販売者については、「薬剤師と登録販売者」をご覧ください。

 

情報の提供

販売する一般用医薬品の区分により、薬剤師又は登録販売者が購入者に以下のような情報提供が義務付けられています。

第一類医薬品

こちらは必ず薬剤師が行う必要があります。

・厚生労働省令で定める事項を記載した書面を用いて、適正な使用のために必要な情報を提供しなければならない
※購入者が説明不要の申し出をしたときは不要

・購入者から相談があった場合、適正な使用のための情報を提供しなければならない

 

第二類医薬品

こちらは薬剤師又は登録販売者が行う必要があります。

・厚生労働省令で定めるところにより適正な使用のために必要な情報を提供するよう努めなければならない

・購入者から相談があった場合、適正な使用のための情報を提供しなければならない

 

第三類医薬品

こちらも薬剤師又は登録販売者が行う必要があります。

・購入者から相談があった場合、適正な使用のための情報を提供しなければならない

 

まとめると、以下のようになります。

区分 情報提供者 情報提供義務 相談応需義務
第一類医薬品 薬剤師 書面
第二類医薬品 薬剤師・登録販売者 努力
第三類医薬品 薬剤師・登録販売者 ×

 

医薬品ラベル表示ラベル表示

薬剤師からは一般用医薬品の全てが、登録販売者からは第二類医薬品と第三類医薬品が購入できますが、どの医薬品がどの区分にあてはまるかが分からなければ非常に不便です。

1 区分表示の方法

薬事法施行規則では、医薬品の直接の容器、被包に、次のように表記し、黒枠で囲むことを義務付けています。

医薬品の区分 ラベル表示(これらを黒枠で囲む)
第一類医薬品 第1類医薬品
第二類医薬品 第2類医薬品
指定第二類医薬品 第②類医薬品
第三類医薬品 第3類医薬品

※指定第二類医薬品については、丸枠で囲む代わりに四角枠で囲んでも構いません。

2 区分表示の記載場所

記載場所には、以下の条件があります。

・直接の容器等に記載する

・販売名が記載されている面全てに記載する

・容易に見ることが出来ない時は、外部の容器等にも併せて記載する

 

3 区分表示の色や大きさ

原則は黒字及び黒枠
※記載する場所の色等との比較においては、白字及び白枠としても構いません。

大きさ原則として8ポイント以上
※狭い場所に記載する場合にはこの限りではありませんが、販売名等より小さいポイントは使えません。

 

店舗への掲示

適正な販売を実施するために、以下の項目について見やすい場所に掲示する義務があります。

1.許可の区分

2.店舗販売業者の氏名又は名称など

3.管理者の指名

4.勤務する薬剤師又は登録販売者の氏名(薬剤師、登録販売者ごと)

5.取り扱う一般用医薬品の区分

6.勤務者の名札等による区別に関する説明

7.営業時間、営業外で相談できる時間

8.相談時及び緊急時の連絡先

9.第一類、第二類、第三類医薬品の定義及び解説

10.第一類、第二類、第三類医薬品の表示に関する解説

11.第一類、第二類、第三類医薬品の情報提供に関する解説

12.指定第二類医薬品の陳列に関する解説
※指定第二類医薬品については、「医薬品の区分について」をご覧ください。

13.一般用医薬品の陳列に関する解説

14.医薬品による健康被害の救済に関する制度に関する解説

15.その他必要事項

以上が、特に重要となる店舗販売業の義務等になります。