薬局とは、薬剤師が薬を販売したり、授与をする目的で、調剤を行う場所の事です。

店舗販売業の許可による店舗と違い、調剤室が設置されており、

薬剤師が処方箋に基づく調剤を行えます。

薬局開設の手続き

薬局を開設するには大きく分けて、3つの手続きがあります。

1)薬局開設許可

薬局を開設するための許可です。

ただし、これだけでは保険を適用した調剤は行えません。

また、麻薬処方せんにより調剤された麻薬を譲り渡すこともできません。

2)保険薬局の指定

この指定を受ける事で、保険を適用した調剤を行えるようになります。

薬剤師が保健薬剤師の登録を済ませていない場合は

地方厚生局に登録申請をして研修に参加する必要があります。

3)麻薬小売業者の免許

麻薬処方せんにより調剤された麻薬を譲り渡す事ができるようになります。

薬局運営の体制

薬局を運営するための体制について

・薬局の営業時間中は、調剤を行える薬剤師が常勤している必要があります。また、1日の平均取り扱い処方箋数に応じても、複数名の薬剤師を配置する必要があります。
※調剤に従事する薬剤師の週の勤務時間は、薬局の一週間の合計開店時間以上である必要があります。
また、要指導医薬品の販売または授与する一週間の合計開店時間は、一般用医薬品も含めた一週間の合計開店時間の2分の1以上であることが必要です。
・薬剤や医薬品についての相談があった場合には、情報の提供や指導を行えるような体制が必要です。

なお、薬局内に陳列されている第2類医薬品と第3類医薬品は
登録販売者でも販売が可能です。

薬局の管理責任者は、その薬局を実地に管理する必要があるため、原則としてその薬局以外の場所で実務に従事することが禁止されています。

この例外としては、非常勤の学校薬剤師を兼ねる場合などで、薬局の管理者としての業務を遂行するにあたって支障を生ずることがないと認められるときに、都道府県知事等の兼務許可を得たうえで、例外的な兼務が認められています。(昭和36年2月8日付薬発第44号厚生省通知)

しかし、へき地など、薬剤師がそもそも少ない地域があったり、近年、薬局の薬剤師が行う
業務が多岐にわたり、その勤務体系も多様化している事情もある事から、薬剤師の兼務の条件について、薬局の管理者の兼務許可の考え方についての通知が出されました。

その通知によると、今まで兼任の例外事例とされてきた「非常勤の学校薬剤師を兼ねる場合」の他、地域における医薬品提供体制を確保するために、以下のような事例も認められるようになりました。(平成31年3月20日薬生総発0320第3号厚生労働省通知)

ア)薬局の営業時間外である夜間休日に、当該薬局の管理者がその薬局以外の場所で地域の輪番制の調剤業務に従事する場合
イ)へき地における薬局の管理者の確保が困難であると認められる場合において、当該地域に所在する薬局の営業時間外に、当該薬局の管理者が他の薬局に勤務する場合

注意が必要なのは、ア)イ)の場合に無条件で兼務が認められるわけではなく、地域の実情、個別の事案を勘案した上で、薬局の管理者としての業務を遂行するにあたって支障を生ずることがないと都道府県知事等が判断した場合に限り、例外的に認められるという点になります。(管理者兼務許可申請という手続きが必要です)

構造設備要件

薬局を開設するための構造設備要件

・面積は全体で19.8㎡以上であること(事務室・更衣室・トイレは面積に含みません)。そのうち、待合室は6.6㎡以上、調剤室は6.6㎡以上必要です。
・薬局の構造施設は、原則として同一階層に設置すること。
※ただし、複数階に渡っている場合も薬局として同一性・連続性があり、往来に 必要な部分を除いたフロア面積が16.5㎡以上あって、適切な管理ができると審査で認められた場合は問題ありません。
・薬局であることがわかりやすい外観であり、薬局内に購入者が出入りしやすくなっていること。
・換気が十分で清潔なこと。・居住用の区画と区別されており、不潔な場所からも区別されていること。
・薬局内の明るさが60ルックス以上、調剤台の上は120ルックスの明るさを保つこと。

調剤室、要指導医薬品陳列区画、第1類医薬品陳列区画、指定第2類医薬品陳列区画の近くに情報提供用の相談カウンター等を設置すること。指定第2類医薬品については7m以内に相談カウンター等が設置されていれば良いとされています。

また、いずれの医薬品も、施錠された棚に陳列した場合は相談カウンター等から離れていても陳列できます。

(台東区 薬局・店舗販売の手引きより)

必要書類一覧

一般的に、薬局開設時には、以下のような書類が必要となります。

平面図
店舗、調剤室及び試験検査室内の棚、医薬品の陳列場所、
冷暗所、毒薬庫、情報提供を提供するための設備、
毒物又は劇物の陳列貯蔵設備等の配置を記入します。
業務体制の概要書
従業員の業務体制や勤務時間等を記入します。
薬剤師又は登録販売者の一覧表
事業内容書
どのような医薬品を置くのか、営業時間や取扱処方箋数などを記載します。
登記事項証明書(法人の場合)
役員図(法人の場合)
薬事の業務に関わる役員を明記します。
管理者の雇用証明書
勤務薬剤師・登録販売者の雇用証明書
申請者と役員の診断書
薬剤師免許証あるいは販売従事登録証(原本)

申請窓口によっては、さらに別な書類が必要となる可能性もございます。

濫用等のおそれのある医薬品の販売時の注意点とは?

薬局開設者は、薬局製造販売医薬品又は一般用医薬品のうち、濫用等のおそれがあるものとして厚生労働大臣が指定するもの(以下「濫用等のおそれのある医薬品」という。)を販売し、又は授与するときは、次に掲げる方法によって行う必要があります。

一 薬局で医薬品の販売や授与に従事する薬剤師又は登録販売者に、次に掲げる事項を確認させるようにしましょう。

1 当該医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者が若年者である場合、当該者の氏名及び年齢

2 当該医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者及び当該医薬品を使用しようとする者の他の薬局開設者、店舗販売業者又は配置販売業者からの当該医薬品及び当該医薬品以外の濫用等のおそれのある医薬品の購入又は譲受けの状況

3 当該医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者が、適正な使用のために必要と認められる数量を超えて当該医薬品を購入し、又は譲り受けようとする場合は、その理由

4 その他当該医薬品の適正な使用を目的とする購入又は譲受けであることを確認するために必要な事項

二 当該薬局において医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師又は登録販売者に、前号の規定により確認した事項を勘案し、適正な使用のために必要と認められる数量に限り、販売し、又は授与させるようにしましょう。