店舗販売業許可の申請先
医薬品の店舗販売業を行うには、店舗ごとに許可を受ける必要があります。
許可の申請先は、その店舗の場所によって以下のように分かれます。
店舗の所在地 | 申請先 |
保健所を設置する市 | 所在地の市長又は区長 |
それ以外 | 所在地の都道府県知事 |
店舗販売業許可申請の要件
店舗販売業許可申請の要件は、大きく4つに分かれます。
①店舗の構造設備が、厚生労働省令で定める基準に適合
②店舗に薬剤師又は登録販売者を置く
③販売体制が、厚生労働省令で定める基準に適合
④申請者が欠格事由に当てはまらない
では、一つずつ具体的に見ていきます。
①店舗の構造設備の基準
店舗全体の基準は、具体的に以下の通りになります。
1.換気が十分で、清潔である
2.常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区別されている
3.面積は約13.2㎡以上で、業務を適切に行うことができるものである
4.医薬品を常時陳列・交付する場所は、60ルックス以上の明るさである
5.冷暗貯蔵のための設備がある(冷暗貯蔵が必要な医薬品を取り扱う場合のみ)
6.鍵のかかる貯蔵設備がある
(台東区 薬局・店舗販売の手引きより)
②薬剤師・登録販売者
販売する医薬品の種類によって、薬剤師又は登録販売者を置かなければなりません。
ここで注意したいのは、登録販売者が誤って販売できない種類の医薬品を取り扱った場合、薬事法違反となってしまうということです。
また、店舗を自ら実地に管理する店舗管理者を置く必要もあります。
この店舗管理者に関しても、薬剤師又は登録販売者でなければなりません。
医薬品を販売する薬剤師や登録販売者がこの店舗管理者を兼ねることもできますが、その場合には注意が必要です。
例えば、店舗管理者を登録販売者とし、扱う予定の一般用医薬品を第一類医薬品としたケースを考えてみましょう。
この場合、店舗の管理に関しては問題ありませんが、第一類医薬品を扱えるのが薬剤師のみとなるため、この店舗には薬剤師が必要となる、というわけです。
薬剤師や登録販売者の販売可能な医薬品の種類については、「薬剤師と登録販売者」をご覧ください。
③販売体制の基準
また、業務体制には以下のような要件があります。
1.第一類医薬品を販売する営業時間内は、常時薬剤師が勤務している
2.第二類や第三類医薬品を販売する営業時間内は、常時薬剤師や登録販売者が勤務している
3.一般用医薬品を販売する情報提供場所に、常時薬剤師や登録販売者がいる
4.営業時間のうちの半分以上、一般用医薬品を販売している
5.第一類医薬品を販売する情報提供場所に、常時薬剤師がいる
6.一般医薬品販売時間のうちの半分以上、第一類医薬品を販売している
7.一般医薬品の情報提供や販売業務管理のため、指針の策定や従事者の研修等が講じられている
※従事者から販売業者への事故報告体制の設備や手順書の作成などがあります
④申請者の欠格事由
こちらは主に許可の申請者の基準です。
申請者や法人の役員等が以下のいずれかに当てはまる場合、許可を受けられない場合があります。
1.薬事法の規定により許可を取り消された日から3年を経過していない
2.禁固以上の刑に処され、その執行を終わった日から3年を経過していない
3.薬事法、麻薬及び向精神薬取締法などの薬事に関する法令や処分に違反した日から2年を経過していない
4.成年被後見人又は麻薬、大麻、あへん若しくは覚せい剤の中毒者
5.心身の障害により業務を適切に行うことが出来ない
分割販売の禁止
販売管理者が登録販売者である場合、医薬品の容器等を開封して分割販売すること(いわゆる「量り売り」の形態)は禁止されています。
逆に言えば、店舗の販売管理者が薬剤師であれば、このような分割販売を行うことも可能です。
以上が店舗販売業許可の申請のための要件となります。
また、店舗販売業の許可を受けた後にも、販売業者にはさまざまな義務が課されています。
詳しくは「店舗販売業の義務等」をご覧ください。